要点
  • I-123 MIBGの臨床への適用疾患としては多く分けて次の2つがある
  • 循環器領域:心不全の診断と治療および予後評価に、MIBGの心縦隔比(H/M比)が有用である。
  • 神経科領域:レヴィー(Lewy)小体病では特徴的なH/M比の低下が見られるため、パーキンソン病やレヴィー小体型認知症と他の疾患との鑑別に用いられる
 

心不全とMIBG検査

  • 心不全ではその重症度に応じて心臓のMIBGの集積低下が認められる。日本循環器学会ガイドラインにおいても、心不全への適応については、有用・有効のエビデンスが認められている。
  • 実際的な適応としては、心不全の重症度評価、心不全死および重症不整脈のリスク層別化、心不全治療効果の判定、長期予後あるいはリスク層別化の評価をあげることができる。
  • MIBGのH/M比が1.6-1.8(報告による)の境界値よりも低値である場合に、死亡、不整脈増悪、重症不整脈発生に関する予後が不良であるとする報告が多い。
  • 国内のMIBGコホート研究から作成した1322症例のプールデータの解析から、死亡リスクの多変量モデルが作成されている。年齢、性別、NYHA心機能分類、左室駆出率(LVEF)、MIBGのH/M比から、2年および5年の死亡頻度を予測することができ、心デバイス治療(ICD, CRT-Dなど)を含めた治療適応決定への応用が期待されている。
  • 図は心不全患者、70歳男性、NYHA II、LVEF=66%の状態であるが、心臓のMIBG集積はH/M比=1.4と低値で、5年の死亡予測は25%と高リスクである。(低エネルギー用(LE)コリメータに変換した値1.3で算出)

CHF

  • 心不全の症例を示す。早期H/M比は1.72で低値であるが、洗い出しが早く、後期H/M比は1.41と更に低下している(心筋部の後期像での低下に注目)。

CHF sample

レヴィー小体病とMIBG検査

  • レヴィー小体病には、パーキンソン病(PD)、レヴィー小体型認知症(DLB)、純粋自律神経不全(PAF)が含まれる。
  • いずれも特徴的な心臓全体のH/M比の低下が認められ、典型的には早期像より集積が低値である。認知症の鑑別診断として、 アルツハイマー病(AD)とDLBの鑑別に関する有用性が認められている。
  • 日本で実施されたADとDLBの鑑別のための多施設研究では、中エネルギー(ME)コリメータ相当のH/M比に換算して、H/M比=2.1が、両者を鑑別する最適境界値であり、ミニメンタルステート検査(MMSE)≥22の軽症症例では感度77%、特異度94%であった。
  • 図の上段は正常対象者、下段はDLBの症例であり、心集積の低下とH/M比の著明な低下が認められる。なお、関心領域の設定はsmartMIBGソフトウェアによる。

  • DLB患者では、典型的には早期よりHMRが低く、診断的には早期像のみでも診断率に差がないとする報告もある。上記多施設研究でも、早期HMR、後期HMRで診断率は同等であった。下図のDLB症例でも、早期よりHMRが低下していることが分かる(early HMR=1.38, late HMR=1.20, WR=64%)。

DLB early and late

  • 標準化したHMRを用いた場合、HMR=2.0(〜2.1)をおよその閾値として、レヴィー小体病とそれ以外の疾患を鑑別できる。以下に、代表的な症例のHMRを例示する。

Lewy

文献

  • 循環器病の診断と治療に関するガイドライン:心臓核医学ガイドライン(日本循環器学会):http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010tamaki.h.pdf
  • [MIBGプールデータベース] Nakata T, Nakajima K, Yamashina S, et al. A pooled analysis of multicenter cohort studies of 123I-mIBG imaging of sympathetic innervation for assessment of long-term prognosis in heart failure. JACC Cardiovasc Imaging. 2013;6 (7): 772-784
  • [リスクモデル] Nakajima K, Nakata T, Yamada T, et al. A prediction model for 5-year cardiac mortality in patients with chronic heart failure using 123I-metaiodobenzylguanidine imaging.Eur J Nucl Med Mol Imaging 2014;41(9):1673-82
  • [リスクモデル] Nakajima K, Nakata T, Matsuo S, Jacobson AF. Creation of mortality risk charts using 123I meta-iodobenzylguanidine heart-to-mediastinum ratio in patients with heart failure: two- and five-year risk models. Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2016 (Epub ahead of print 2015/12/24)
  • [DLBとAD] Yoshita M, Arai H, Arai H, et al.  Diagnostic accuracy of 123I-meta-iodobenzylguanidine myocardial scintigraphy in dementia with Lewy bodies: a multicenter study. PLOS ONE. 2015 Mar 20;10(3):e0120540.
  • [関心領域]  Okuda K, Nakajima K, Hosoya T, et al. Semi-automated algorithm for calculating heart-to-mediastinum ratio in cardiac Iodine-123 MIBG imaging. J Nucl Cardiol. 2011;18(1):82-9
  • [Parkinson病] Orimo S, Suzuki M, Inaba A, et al. 123I-MIBG myocardial scintigraphy for differentiating Parkinson’s disease from other neurodegenerative parkinsonism: A systematic review and meta-analysis. Parkinsonism and Related Disorders 18 (2012) 494e500.

[2016/1/10,1/29,3/01 KN]

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