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I-123 MIBG H/Mの正常値とコリメータによる差異

要点
  • MIBGの定量にあたっては心縦隔比(H/M比)が簡便な方法として用いられており、特に心不全の予後評価におけるエビデンスがある。
  • H/M比の算出にあたっては、心筋と縦隔に関心領域をとり、その平均カウントの比を計算する。
  • SPECTでは心尖下壁側で低値になる傾向がある。
 
  • I-123 MIBGの定量にあたっては、心臓と縦隔に関心領域をとる心縦隔比(H/M ratio)を用いる方法が簡便である。この方法は簡潔ではあるが、関心領域(ROI)の位置に関しては設定者間のばらつきも生じやすいため、一定の設定基準を設けることが望ましい。
  • 一般的には心臓のROIは、心臓全体を含むように設定するか、円形ROIを用いる。また、縦隔の関心領域は、肺や甲状腺にかからないように、中央で上1/3にとる方法が用いられることが多い。

planar HM

  • 関心領域を半自動で設定する方法を用いれば、設定者間や施設間の差を軽減できる(下記文献)
  • 心不全を対象にしたMIBGの予後調査研究では、H/M=1.6あるいは1.7以下では、致死的イベントを発生する頻度が高く、リスクが高いとみなされている。

H/M比の正常値

  • これらの低エネルギー用と中エネルギー用のコリメータのH/Mの差異を、校正ファントムにより補正する方法も利用できる(下記文献)
  • 標準ME(表中のstandardized ME)は、最も広く用いられているMEに補正した標準値である→較正方法については、当サイトの最新情報参照。

 

MIBGの洗い出し率

  • WRの計算にあたり、時間減衰補正を加えたもの、時間減衰補正とバックグラウンド(BG)の両者の補正を加えたものを並記する。一般的には、両者の補正が望ましい。
  • 集積度が低い場合はバックグラウンドの減算の影響を少なくするために、BG補正をしない方が安定するとの報告もある。 

SPECTでの正常分布

  • QPSを用いたpolar mapと17セグメントの値を示す。
  • SPECTでのMIBG正常パターンを示す。下壁の心尖寄りが低値であることに注目できる

Polar map

 

参考論文

  • Nakajima K. Normal values for nuclear cardiology: Japanese databases for myocardial perfusion, fatty acid and sympathetic imaging and left ventricular function. Ann Nucl Med 2010; 24:125-135
  • Nakajima K, Matsubara K, Ishikawa T, et al. Correction of I-123-labeled meta-iodobenzylguanidine uptake with multi-window methods for standardization of the heart to mediastinum ratio. J Nucl Cardiol 2007; 14:843-851
  • Matsuo S, Nakajima K, Yamashina S, et al. Characterization of Japanese standards for myocardial sympathetic and metabolic imaging in comparison with perfusion imaging. Ann Nucl Med 2009; 23:517-522

追加文献2011/12

  • Okuda K, Nakajima K, Hosoya T, et al. Semi-automated algorithm for calculating heart-to-mediastinum ratio in cardiac Iodine-123 MIBG imaging. J Nucl Cardiol. 2011;18:82-9
  • Nakajima K, Okuda K, Matsuo S, et al. Standardization of metaiodobenzylguanidine heart-to-mediastinum ratio using a calibration phantom: Effects of correction on normal databases and a multi-center study. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2012;39:113-9

追加文献 2014/08

  • Nakajima K, Okuda K, Yoshimura M, et al. Multicenter cross-calibration of I-123 metaiodobenzylguanidine heart-to-mediastinum ratios to overcome camera-collimator variation. J Nucl Cardiol 2014 (Epub ahead of print)

[KN: 2010.08.01, 2011.12.21, 2012.02.21, 2014.08.26]