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薬剤による心筋負荷(アデノシン、ジピリダモール、ATP)

要点

  • 運動負荷困難な症例に実施できる
  • 臨床的診断精度は運動負荷と同等であり有用性が高い
  • 左脚ブロックやペースメーカー症例では薬物負荷がよい
  • 気管支喘息コントロール不良でアデノシン負荷は禁忌とされる
  • 薬物負荷の際に血圧が低下する症例には運動負荷を併用することもある
  • 心筋負荷用の薬剤としては、アデノシンのみが薬価収載されている

薬物負荷試験

  • 運動負荷の施行が困難な症例や左脚ブロック例ではアデノシン(adenosine)やジピリダモール(Dipyridamole)を用いた薬物負荷が望ましい。
  • 両者の冠血管拡張作用は同程度で、安静時の約4.5倍に達する。
  • 作用の持続時間はアデノシンでは静注後約10秒から約2分間と比較的短時間であるのに対し、ジピリダモールは静注2から4分でピークに達し、約30分間持続する。
  • 心筋虚血の検出精度に関して心筋SPECTによる評価は負荷心電図検査と比べて優れている。
  • 欠損像の部位や広がりの同定や虚血の重症度判定に役立つ。
  • 原則として負荷検査前の24時間はカフェイン含有の薬物や飲食物(茶など)の摂取は控える。これらの摂取はアデノシンやジピリダモール、ATPの効果を減弱させる。

 

Tc-99mを使用した薬剤負荷検査

 

薬剤負荷の時間とRI注射のタイミングpharmacological sress figure2

薬剤負荷での副作用出現時の対処

  • ジピリダモール負荷では拮抗するアミノフィリンを緩徐に静注する。血圧が大きく低下する場合は、昇圧薬や下肢挙上などの処置を行う。
  • ATP、アデノシン負荷では半減期が短いので、投与を中止すれば症状は回復することが多い。

[SM: 2010.08.01]