要点
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位相解析の原理と計算されるパラメータ
- 下図のように16Fの心電図同期検査を仮定して16個のデータが得られたとしよう。このデータにFourier(フーリエ)変換を用いて、基本波成のずれを位相と定義する。すなわち、三角関数の一次の近似で、図中のH1に相当する。
- この分布をpolar map表示することにより、左室心筋局所の収縮時間に相当する機能マップを得ることができる。
- 左室内の位相の分布をヒストグラムとして表示することが多い。この位相のばらつきを次のようなパラメータを用いて評価する。
- Phase bandwidth: 位相の95%が含まれるバンド幅(単位:度)
- Phase standard deviation:位相の標準偏差(SD)(単位:度)
- Phase entropy:位相の乱雑さを計算する指標で0(完全な秩序)から1(無秩序)まで分布する(定義については、文献1-2に記載)。
位相解析が利用できるソフトウェア
- 国内で利用できるソフトウェアとして、次の4種類が用いられている。
- Emory Cardiac Toolbox - SyncTool (Emory Univ, Syntermed)
- QGS (Cedars Cinai Medical Center)
- Heart Function View (Nihon Medi Physics)
- 4DMSPECT (FUJIFILM RI Pharma / EXINI Diagnositcs, Sweden)
位相に関連するパラメータの正常値
- 日本核医学会ワーキンググループの正常データベースを用いた正常値の分布を以下に示す。
- Phase SDの上限値は、QGSとHFVで約10度、ECTbとcREPOで約20度である。
関連文献
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心筋 SPECT ソフトウェア紹介 No1. Dyssynchrony を読む - フーリエ変換と位相の考え方. 心臓核医学会誌 2013; 15-1: 16-17
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Nakajima K, Okuda K, Matsuo S, Kiso K, Kinuya S, Garcia, EV. Comparison of phase dyssynchrony analysis using gated myocardial perfusion imaging with four software programs: based on the Japanese Society of Nuclear Medicine working group normal database. J Nuc Cardiol 2016 (in press)
[kn: 20151121]